研修を終えた橘 竜(たちばな りょう)は、部隊長である服部重治(はっとり しげはる)と会い、部隊の配属を告げられる。
服部の車に同乗した橘は、都内に向かっていた。
「さっそくだが、今、抱えている事件があってな、今日は、チーム全員を招集している」
「全員ですか?」
「そうだ。緊張するか?」
「そうですね。人並みには…」
そうこうしている間に都内某所にある公的機関のビルに到着した。
ビルに入りいくつかある会議室のなかで一番奥の部屋に入る。
見たところ特に変わった様子もない。
あるのは、ホワイトボードに大きめの平机。それのまわりに椅子が並んでいる。椅子の数だけを数えれば16脚あるから、それなりの広さである。
「集合時間が13時半だから、ゆっくりしていてくれ」
13時半まで、あと20分くらいはある
『早いものだ…』
1年前には、想像できない今の環境に虚無感を一瞬覚えながら、あの頃のことが脳裏に浮かぶ…これから、どうなるのか?考えても仕方ないことなのかも知れないが…
「さすがに服部さん、早いですね」
新しく聞く女性の声に橘は我に返った。
「隊長の姿勢が隊全体の規律に影響するからな」
それを聞いたその女性は、ニコリと笑って席に着いた。
「新人さんですね。はじめまして、新城美佐です」
礼儀正しい人だ。年は、20代中ごろくらいか…肩くらいで揃えられた髪が清潔感をより引き出している。
「こちらこそ。配属になりました、橘 竜です」
「ああ〜あなたが…」
橘は、一瞬、反応を示した。
「気を悪くしないでね。HERMITのメンバーは、少なくともあの事件は知っているの。事件に関わった橘くん、そして、風魔の二人は、私達の中では有名人なのよ」
「そうなんですか」
「そういうこと」
新城美佐の話し方は、とても自然で心地よささえ感じる。
心にゆとりを持つ女性なのだろう。
さらに廊下から数人の話し声が聞こえる。
「すいません。隊長、お待たせしました」
「隊長、おはようございます」
服部が、答える。
「なんだ、一緒にきたのか?」
「たまたま、石原さん達とそこで一緒になったんです」
「隊長、自分、そんなに近藤達と、仲良くないですから」
そんな冗談に笑いがおきる。
「よし。では、席についてくれ」
服部は、あらためてメンバーを見渡し口を開いた。
「まずは、新メンバーを紹介させてくれ。橘 竜くんだ。橘くん、簡単に自己紹介を」
橘は静かに席を立った。
「橘 竜です。名前は、竜(りゅう)と書いて『りょう』と読みます。坂本竜馬から取ったらしいです。年は、16才です。本日、研修を終えたばかりですがよろしくお願いします。」
橘が座るのを待って服部隊長が口を開く。
「では、簡単に紹介する。まずは、新城」
新城は、軽く一礼をする。
「新城美佐。彼女は、後方援護のスペシャリストだ。ライフル射撃の腕は、信頼に値する。チーム戦術においても彼女の腕に頼るところが大きい。次に…石原玲司」
ジーパンにTシャツ、その上にジャージを着た男が立ち上がった。
背丈は、180くらいはある。年は20代後半くらいか…
「石原玲司だ。主に切り込み役をやっている。格闘技系全般を得意としている。よろしくな」
すぐ隣にいた男が立ち上がる。話し振りから石原より少し若いようだ。背丈は、175くらいはある。
「近藤慶介です。石原さんと同じく先行することが多いです。自分は、蹴り技を得意としています。石原さんは、ごつい感じですけど、自分は、身軽さが武器ですね」
続いて
「皆川敦、20才です。橘くんと一番年齢が近いのは自分ですから判らないことがあったらなんでも聞いてください。僕の場合、武器はこの左腕です。」
皆川は、左腕を見せて力を入れる。すると170センチの体には合わない筋肉が浮かび上がる…
「そんなところでいいだろ」
服部が続く
「そして、部隊長、服部重治だ。このメンバーに橘くんをいれた、6人がチームのメンバーということになる。ちなみにこのチームは、『HERMIT』内で『白狼』と呼ばれている」
「白狼…」
「隊長」
新城美佐が口を開いた
「橘くんの能力も教えてくれていたほうが…」
「そうだな。橘の能力は、自分の能力と同じ、瞬間分析能力…それと射撃術もいいものを持っていると聞いている…しかし、彼も現場経験が少ない。しばらくは自分の傍で補助をしてもらおうと思う。」
「隊長、はやくも引退の準備ですか?」
石原の冷やかしの言葉に
「何、言ってんだ。娘のためにも稼がにゃならんのにまだまだ引退なんぞできるか!」
会議室に笑いが溢れた。
ここには、間違いなく活気がある。
橘 竜にとって、懐かしい空気がそこにはあった。
...to be continued.