あれから1年になる…
僕は、変わったのか? 変えられたのか?
確かなことは…もう昔には戻れないということ
また、繰り返そうというのか
そうか、ならば大いなる混乱は免れぬ
あの者達の沈黙も終わるのだ
我も覚醒の時やもしれん
この世界が変わる
その時は、近づいている
使者の魂は、放たれた
おまえの瞳に映る新しい世界で
私は、待とう
そのとき、おまえは、敵か見方か
僕は意思を持つ
従うこともあり
抗うこともある
いいなりとすることは…できない
都内某所―――
警察組織幹部が集まっている
『特殊能力者・・・』
『およそ人間の常識を超えた身体機能、知能を持つ者。それらに該当する人間が存在する』
『内閣調査室の報告によれば、先天的な者よりも次にあげる状況において特殊能力者として覚醒する場合が多い』
1.一定の年齢に達したとき
2.命の危機を乗り越えた場合
『年齢に関しては、14〜17才の例が最も多いとの報告が出ている』
『なぜそのような能力者が生まれてくるのかは、依然なぞであるが、ここ数年の犯罪に特殊能力者が組織だって動いている節がみられるという報告があがった』
『政府としては、調査の継続を指示するとともに、対能力者組織の編成が必要であると判断した。その組織の存在は、一部の人間のみに報告がなされたが詳細に関しては、一切伏せられていた。ただ一つ、コードネームだけは、伝え聞くことができる…』
『コードネーム『HERMIT』とよばれる組織…』
「ここまでは、御存知の方もおられると思います。今回、この非公式組織であった『HERMIT』の管轄を公安とすると正式に発表されたことをお伝えいたします。そして、今後捜査における協力体制を…」
公安調査庁研修所―――
この場所には、明らかに不似合いな少年が歩いている
見たところ、15,6才くらいか…
「橘、配属決まったらしいな」
「ええ、通知を今しがたもらいました」
「どこになったんだ?」
「渋谷です」
「おお〜橘は渋谷かぁ…また、やっかいな地区に配属されたもんだ。複雑気持ちといったところか?」
「そうでもないさ。正直、地元だし生活するには楽だ。それに、HERMIT支援の話が正式に下りたと聞いている」
「それなら、俺も聞いたよ。これで警察組織からは、現場レベルから直接支援を得られることになる。これで現場トラブルは、かなり解消されるはずだ…」
「そのはずですね。」
橘 竜(たちばな りょう)
16才。175センチ、64キロ。
最近の若者としては、平均をわずかに上回る体格の少年が、公安組織の通路を歩いていく。
涼しげな眼とさりげない仕草が、冷静沈着な人間であることを想像させる。
「そういえば、風魔小太郎の件、聞いたか?」
「小太郎の件? 何かあったのか?」
「ドイツから帰ってくるらしいぞ」
風魔小太郎。橘は、この組織に入る前に彼に会っている。
彼を含め、風魔を名乗る者たちの多くがHERMITに参加しており、HERMITに所属するものならば、風魔小太郎の名を知らぬものはいない。彼は、組織の切り札的存在であり近接戦闘のスペシャリストとして名を馳せていた。
「そうか…あの小太郎が帰ってくるのか…」
「橘は、面識あるのか?」
「少しな」
「どんな奴なんだ?」
「そうだな…熱い奴だ!」
「なんだそれ?」
「会ったときになるほどと思うさ」
「…そうなのか」
二人は、HERMITのメンバーであり、配属診断研修に参加していた。
HERMITに所属するには、基礎訓練を終了後、すでに活動中のHERMITの部隊に配属され半期を過ごす。その後、配属診断研修を得て、正式配属が決まる。
「どうする? 飯でも食いにいくか?」
「すまん。このあと配属先の隊長から呼ばれているんだ」
「そうか…仕方ないな」
橘は、研修室にある訓練ルームに向かった。
「さて、『HERMIT』最強と噂される鬼隊長に会いに行きますか…」
...to be continued.